手紙の前文とは何なの?文例と3つのチェックポイント!
手紙の前文とは何なのか。
この最初の冒頭部分が手紙をスムーズに展開させるために必要です。
相手を気遣う気持ちや季節の変化、自分の近況の文言を入れることで、日本人が昔から大切にしていた心を共有でき喜びになります。
その手紙の前文の構成を3つのチェックポイントにまとめて解説していきます。
そして手紙の前文例を「春夏秋冬」別にまとめて用意したので、ぜひ参考にしてください。
手紙の前文とは何なの?
手紙の前文とは、拝啓などの「頭語」や季節の挨拶言葉として使う「時候の挨拶」から始まり、「相手の安否をうかがう挨拶」などにつながる初めの挨拶となります。
前文の構成はある程度は決まってたりするので、文例を参考にするだけでも礼儀正しい文章が出来上がるでしょう。
手紙の前文に必要な3つのチェックポイント
手紙の前文に入れる項目でチェックしておきたいのは次の3つです。
①頭語
②時候の挨拶
③相手の安否を伺う挨拶
まず一つ例文を見て構成についてチェックしていきます。
拝啓 歳末の候、ご家族の皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご指導を賜り、心より御礼申し上げます。
さて、このたびは、ご丁重なお歳暮の品を頂戴しまして、誠にありがとうございました。子供たちは大喜びで、豪華な食事を楽しませていただきました。
年末ご多忙の折、寒さも一段と厳しくなってまいりますので、ご自愛のほどお祈り申し上げます。
まずはお礼のみにて、失礼いたします。 敬具
手紙の構成についてはコチラ → 手紙の構成に必要な項目は?改まった形は縦書き!
この例文の中では
①拝啓
②歳末の候
③ご家族の皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
これが基本的な手紙の前文となります。
手紙の前文の追加事項
先ほどの文例には、続けて
「平素は格別のご指導を賜り、心より御礼申し上げます。」
とありますが、これは日頃からお世話になっていることへの感謝の一文です。
手紙の内容や相手によっては
- 自分の安否を伝える挨拶
- お礼の挨拶
- お詫びの挨拶
こういった言葉を書き入れることもあります。
別の手紙で例文を用意したので見てみましょう。
拝啓 草木が芽生え始めるころとなりましたが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。日頃はなかなかご挨拶ができず申し訳ございません。おかげさまで私どもも元気に過ごしております。
このように「無沙汰を詫びる文言」や「自分の安否を伝える文言」を追加で書き入れる手紙もありますね。
手紙の前文のポイント
前文の中にも①頭語②時候の挨拶③相手の安否を伺う挨拶といった言葉が必要になりますが、それぞれで注意点やポイントがあるので整理していきましょう。
頭語
話し言葉では「こんにちは」に当たる部分です。
今回の文例では「拝啓(はいけい)」を使っていますが、「拝」は「おがむ」、「おじぎをする」という意味があり「啓」は「もうす」なので、「お辞儀をして申し上げます」という意味になります。
頭語を使用する場合、かならず「結語」とセットで使います。
一般的な手紙(往信):拝啓-敬具
改まった手紙(往信):謹啓-謹言
前文省略の手紙:前略-草々
女性の一般的な手紙:一筆申し上げます-かしこ
このようにある程度決まった形があります。
>>頭語と結語の組み合わせ一覧!読み方や意味などを文例と学ぼう!
状況や相手に応じて使い分ける必要があるので、必ずマスターしておきましょう。
時候の挨拶
季節を表す挨拶の言葉です。
目上の人やビジネスシーンでは、漢語調の「○○の候」などの慣用句を使うことも多くなります。
時候の挨拶は季節によって使う言葉が違うので、それぞれの月に応じた言葉を知っておくと便利です。
>>【1~12月別】時候の挨拶「上旬・中旬・下旬」の例文や書き方
相手の安否を伺う挨拶
相手の健康や安否を気遣う言葉です。
ほかにも「繁栄を喜ぶ」「日頃の交誼を感謝する」といった言葉でもいいですね。
相手が目上の場合は「お元気ですか」「お変わりございませんか。」などの疑問形は使いません。
また、最近あった人には「元気ですか」などの言葉は入れません。
自分の安否を伝える挨拶
相手も自分の事を気にかけてくれるような間柄なら、続けて自分の様子も伝えます。
儀礼的な手紙では省略するのが一般的です。
お礼の挨拶
日頃からお世話になっている場合や、最近おもてなしを受けた時などに追加するといいでしょう。
ビジネス、会社関係などで、
「平素は格別のご指導を賜り、心より御礼申し上げます。」
といった文言を入れることも多いと思います。
お詫びの挨拶
お世話になっている先生や恩人など、普段あまり連絡していないような時に無沙汰を詫びる一文を書き添えます。
手紙の前文例「春夏秋冬」を交えて
手紙の前文で春夏秋冬に合わせて例文をいくつか用意しました。
季節に合わせて使う時の参考にしてください。
手紙の前文については決まった言い回しを使うことで簡単にきれいな文章が準備できます。
よければこちらも参考にしてください。
手紙の前文「春」
拝啓 陽春の候、ご壮健でお過ごしのことと存じます。いつもお心遣いをいただき心より御礼申し上げます。
拝啓 桜花の候、皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます。日頃はなかなかご挨拶ができず申し訳ございません。こちらは変わらず家族一同元気にやっております。
拝啓 新芽の緑が鮮やかに照り映えるころでございます。いかがお過ごしでしょうか。先日はいろいろとご心配をいただき本当に感謝しております。
手紙の前文「夏」
拝啓 夏至の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。日頃はひとかたならぬご厚誼を賜り誠にありがとうございます。
拝啓 大暑の候、皆様お健やかにお過ごしのことと存じます。平素は主人が公私にわたりお世話になり、心から御礼申し上げます。
拝啓 立秋とは名ばかりの厳しい暑さです。そちらはお変わりありませんか。今年は例年になく残暑が厳しいとのことですが、こちらは相変わらず無事に暮らしております。
手紙の前文「秋」
拝啓 暦の上では秋ですが、厳しい残暑が続いております。お元気でお過ごしですか。おかげさまで私もつつがなく過ごしております。
拝啓 秋暑の候、○○様におかれましては、まずますご清栄のこととお喜び申し上げます。このたびはご丁寧にお見舞いいただきまして、まことにありがとうございました。
拝啓 秋涼の候、お父様、お母様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。長らくご無沙汰いたしまして心苦しく思っております。
手紙の前文「冬」
拝啓 晩冬の候、皆様にはご健勝のこととお喜び申し上げます。いつもお心遣いをいただき心より御礼申し上げます。
拝啓 新春の候、新年を迎えて、身も心も新たな気分でお過ごしのことと思います。
厳しい寒さが続きますが、いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで私どもは元気に過ごしております。日頃は雑事に追われご無沙汰ばかりで大変申し訳ございません。
まとめ
手紙の前文とは、冒頭で相手に対して挨拶を行う大切な項目です。
ただ、手紙の内容や相手によっては頭語や結語、前文を省略しいきなり本文に入ることもあります。
葬儀にかかわる文書の死亡通知や葬儀の案内状など、時候の挨拶など入れている場合ではない手紙なので省略します。
他にも火事や災害、病気の見舞状なども省略しますし、年賀状や暑中見舞いなどの手紙にも時候の挨拶は使いません。
手紙の前文が書ければ、次は「主文」で伝えたいことを文章にしますが、ここでもポイントがあります。
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